株式会社エス・エム・エスキャリア 医療・介護の人材支援

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社会医療法人宏潤会 大同病院 吉川理事長/都築副院長兼看護部長/朝生事務局部長 × 担当

「人材紹介だけの会社なら依頼しなかった」―― 時間軸・規模感を理解し伴走することで、驚異の大量採用に成功


社会医療法人宏潤会 大同病院(愛知県名古屋市)

1939年、大同病院創設。2011年、愛知県知事から社会医療法人の認定を受ける。「ペイシェント・ファースト」の理念のもと、小児から高齢者まで幅広い患者を受け入れ、地域が必要とする救急医療・急性期医療を提供している(404床)。


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社会医療法人宏潤会 大同病院・だいどうクリニック
吉川 公章(よしかわ こうしょう)理事長

名古屋市立大学(旧)第2内科で研修医、1985年大同病院入職、呼吸器科主任部長を経て、2004年4月より大同病院院長。2011年4月、社会医療法人宏潤会理事長に就任。

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社会医療法人宏潤会 大同病院
都築 智美(つづき ともみ)副院長兼看護部長

看護学校卒業後、大同病院に入職。摂食・嚥下障害看護認定看護師として活躍し、大学院でマネジメントを学ぶ。2014年、看護部長に就任。2016年、認定看護管理者の資格を取得。2017年より副院長兼看護部長に昇格。

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社会医療法人宏潤会 大同病院
朝生 和光(あそう かずみつ)事務局部長

大同特殊鋼株式会社で知多工場生産管理室長、人事部人事企画室長、知多工場副工場長、人事部人材開発センター長、技術開発研究所企画管理部長などを経て、2016年4月から現職。

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株式会社エス・エム・エスキャリア 人事・組織コンサルティング事業部
ソリューション西日本グループ 薮中 桂佑(やぶなか けいすけ)

2016年入社。医療機関向け採用支援のソリューションサービス(※1)を担当。関西地方および中部地方の医療機関に対し、サービス提供を行っている。
(※1 医療・介護従事者の採用について、現状把握から戦略策定、戦略の実行までをトータルにサポートするサービス。)


慢性期から急性期への大転換。さらに高度な医療を提供するための即戦力の不足が大きな課題に

インタビュアー : 当社とご契sub1約いただくまでの経緯を教えていただけますか。

吉川理事長 : 当院は開設当初から、患者さま第一の医療を提供してきました。患者さまが困ったときに24時間いつでも対応できる体制を作りたい、そのためには本格的に急性期医療に取り組むしかないと考えはじめたのが2002~2003年頃、ちょうど私が責任者になった時期ですね。

薮中 : 当時は慢性期に近い病院だったと聞いています。すごい大転換ですね。

吉川理事長 : いやぁ、その頃はみんなに馬鹿にされて。「急性期なんて無理だ」と言って辞めて行かれた方もいらっしゃいました。それでも、今後我々が地域で生き残っていくためには急性期しかないと、思い切って舵を切りました。もちろん、私一人でできることではありません。医療は医者だけでできるものではないので、事務の方々にも協力を仰ぎ、対等な立場でディスカッションを重ね、病院全体で取り組みました。

インタビュアー : 診療報酬の観点から見ても、非常に先進的な取り組みだったと思います。

吉川理事長 : 診療報酬改定は後からついてきただけで、それを見越したわけではありません。収益ありきで動き始めると、必ず途中でつまずいてしまう。あくまで医療の質を担保するため、患者さまのためにどうすべきか、ということを第一に置いていました。

薮中 : 急性期を目指すとなると、ハード面だけではなく、ソフト面、とりわけ人材の確保が必要になると思いますが・・・。

吉川理事長 : そうですね。医師については、急性期をやりたいという方が入職してきて、環境を整えることもできました。看護師については、慢性期から急性期に転換していく中で、人数は揃っていました。71の看護基準も満たせていました。これも制度改定が後からついてきたんですけどね。系列の看護学校が閉鎖になりそこからの新卒人材の流入がなくなった中、質の高い看護師を確保するために、教育と環境に投資しました。その結果、大卒の方々も増え、毎年質の高い新卒看護師を30名前後は確保することができていました。

薮中 : 着々と急性期病院への転換を進めてこられたわけですね。以前拝見させていただいた2015年からの中期経営計画にもあるとおり、さらに高度な救急医療を推し進めるため、人材確保の面でもまた新たなステージに立ったと思うんですが、課題はありましたか。

吉川理事長 : いま思うと何と無能だったかと思うくらいの課題がありました(笑)。救急をやっていくと、だんだんと難しい患者さまも入ってくるようになります。当時からICUはあったのですが、救命するためにはもっと高度なICUが必要で、そこに救急の専門家が必要でした。医師は、何年もアプローチをして救急の先生に来ていただけて、その先生を中心に看護師の内部教育も実施いただきました。ただ、計画と照らし合わせると、どう考えても内部の人材育成だけではとても足りないということに気がつきました。急性期病院としてそれなりのレベルは維持できていましたが、小児科もNICUやGCUを新設する準備に入っていましたし、さらに高度化するためには、経験10~15年の即戦力の看護師が圧倒的に足りなかったのです。

都築副院長兼看護部長(以下都築看護部長) : 高度な急性期の医療に慣れている看護師がそう何人もいなかった。「もう間に合わないかもしれない」みたいな感じでしたよ。

吉川理事長 : 救急・ERを中心に、建物や設備には相当な投資をしておりましたので、人材確保は急務でした。いやいや、本当に直前でこれは無理なんじゃないかと思ったくらいでした。

抵抗があった人材紹介会社との取引。思い描くスキームと合致した提案を受け、一緒に取り組むべきと決断

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インタビュアー : そんな危機的状況の中、どのように採用活動を行っていこうと考えておられたのですか。

都築看護部長 : 「そもそも大同病院を知っている看護師がどれぐらいいるんだろう?」と思っていました。ホームページで募集してもほとんど応募がない。自分たちだけの力じゃ無理だと思いました。そんなとき、新卒採用でお付き合いのあった御社が、中途採用の提案をしてくれたんです。

朝生部長 : 申し訳ないのですが、最初は人材紹介会社へ依頼することに抵抗がありました。どうして自前で採用できないんだ、という思いがありましたから。一方で、病院のネームバリューもなくブランディングもない。これでは目標期間内に、要件を満たした人材を採用するのは無理だな、とも思っていました。

薮中 : 当社にご依頼いただけたポイントはどんなところでしょうか。

朝生部長 : 我々の時間軸、規模感を理解した上で提案をしてくれたからです。時間軸、規模感というのは、定められた期限までに70名採用しなければならないということ。7月にスタートして、期中に40名、次の4月までに30名。最初は聞いてびっくりしたでしょう?

薮中 : 普通はちょっと無理ですね(笑)。

朝生部長 : 無理だし無茶だけど、やらなきゃならない。その危機感まで一緒に背負ってくれた。短期間で目標人員を揃えるために、初めは人材紹介会社を使ってとにかく数を確保する。その後、自力で採用できる力を付ける。さらに定着率を上げていく。そうやってステップアップして行こうというプランを提案してくれました。それが、自分たちが思い描いていたスキームと時間軸にきっちり合っていたんです。この会社と一緒に採用に取り組むべきだと思い、理事長、院長、事務局長にそれを伝えました。

吉川理事長 : ただお金を払って人を集めるだけの人材紹介会社なら依頼しなかった。「一緒に取り組もう」という提案書をいただいたので、我々と伴走してくれる会社なら、と思って決裁しました。

朝生部長 : 相当な予算を動かすことになるし、採用にかかる費用は先行投資ですから、一時的に人件費も跳ね上がる。難しい経営判断だったと思いますが、「人を育て、質を高める」という理事長の思いがあって、ご決断いただきました。

2カ月で119名を面接。現場の師長やスタッフにも、「やりきる」覚悟を共有した

インタビュアー : そこから怒涛の採用活動が始まるわけですね。

朝生部長 : まず、人材紹介会社を集めて、院内で説明会を実施しました。理事長・看護部長に理念や採用の趣旨を説明してもらい、どんな人材を、どの部署に何名ほしいのかということを、各社に正しく理解してもらいました。その結果、これまで当院とお付き合いのなかった人材紹介会社からも、多数の紹介が来るようになったんです。採用の裾野が一気に広がりました。

薮中 : 2カ月で119名の面接を実施されたんですよね。

吉川理事長 : どうなっているんだろうと、びっくりしました。世の中、そんなに流動している看護師がいるのかと(笑)。

都築看護部長 : 朝生さんと2人で、毎日毎日、朝から晩まで面接の日々でした。どれだけ朝生さんと一緒にいたことか。夫婦よりも長い時間を過ごしましたよ(笑)。

朝生部長 : 本当に、うちの奥さんよりも長く一緒にいましたね(笑)。「絶対に達成するんだ!」 という思いだけでした。それだけ一緒にやってると、初めは意見が合わなかったところも、途中からぴったり合うようになっていました。

インタビュアー : 面接だけでなく病院見学などもあるので、現場の協力も必要ですよね。どうやって協力を仰いだのですか。

都築看護部長 : 人材紹介会社への説明会に、全病棟の師長を同席させました。これからたくさんの人がこの病院を見に来る。自分の病棟を見てもらって、「ここで働きたい」と思ってもらえるような迎え方をしてほしいと、全師長に伝えました。

朝生部長 : 動機付けはうまくできたと思いますね。上層部だけで動いても、現場には見えてこないし協力も得られない。説明会に参加してもらったことで、「やるんだ」という覚悟を見せることができました。師長たちにも、今までとは違う病院の本気度が伝わったと思います。

都築看護部長 : 採用の進捗状況も、随時共有するようにしました。この病棟に何名、あの病棟に何名、あそこの病棟は見学者から評判がよかったよ、と。そうするとみんな「うちの病棟に来てほしい」と、見学者への対応がよくなってくる。見学者の入職が決まると、みんな喜んで迎え入れてくれる。

朝生部長 : 相乗効果で、ポジティブな循環が生まれましたね。

1個質問すると、5個返ってくる。5個質問すると10個…そのくり返しで成長できた

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インタビュアー : スピード感がすばらしかったと伺っています。

吉川理事長 : はい。すごいスピードで採用活動をしてくれた。私はただ承認するだけ(笑)。毎日、承認依頼のメールが何通も届きました。

都築看護部長 : スピード感が大事だとエス・エム・エスキャリアさんから教えられていましたから(笑)。一分一秒を争う気持ちで、思い立ったらすぐに理事長室のドアを開けていました。

吉川理事長 : お弁当でも食べようかと思ったら…。

都築看護部長 : 「お食事中にすみません!」って入っていく(笑)。

吉川理事長 : スピードもそうですし、人材紹介会社を集めての説明会や、見学希望者の対応だとか、採用のノウハウが院内にまったくなかったので、エス・エム・エスキャリアさんにはノウハウの提供を期待していたんです。それに応えてくれたことがありがたかった。

都築看護部長 : 本当に助けられました。御社に1個質問すると、5個返ってくる。教えてもらったことはやらなきゃと頑張って5個返すと、今度は10個返ってくる。

薮中 : 多いときは、1日10通以上メールのやりとりをしていましたね。

都築看護部長 : 次から次へと提案をしてくれて、こちらが実行したことに対する評価もフィードバックしてくれる。そのくり返しで、成長することができました。いろんなトピックや新しい情報も教えてくださって、まさに伴走してくれました。

採用して終わり、ではない。定着率を上げるにはスタッフ一人ひとりの満足度が大事

インタビュアー : スピード感あふれる採用活動の結果、目標期間内に63名を採用されましたね。

朝生部長 : 応募者自体がかなり多くなったので、数を確保するだけでなく、質を見ることができる採用になりました。面接はとにかく大変だったけれど、やっただけの価値がありましたね。お金はもちろん、我々の時間もこれだけ投資して、もし空振りだったらどうしてくれるんだ薮中、と当時は思っていましたけど(笑)。

薮中 : そろそろ話を振られる頃だと思っていました(笑)。今だから笑って振り返ることができますが、当時は笑えなかったですね。私も必死でした。

都築看護部長 : 必死だったけど、楽しい日々でもありました。採用して終わりではなく、大同病院に定着してもらうために、中途で入ってくれた看護師に対するフォローにも力を入れています。たくさん入職しても、すぐに辞められてしまったら意味がないですから。中途のための「キャリアエンジェルズの会」を立ち上げて、中途の方々が活躍でき、輝ける場所を作って、キャリアアップにつなげる取り組みを行っています。理事長、院長、朝生さんにも参加してもらい、看護師とコミュニケーションを図ってもらっているんです。

朝生部長 : ただ数を集めればいいというわけではありませんからね。きちんとマネジメントして、働く満足感を得てもらわないと、「大同病院に入職してよかった」と思ってもらえない。結局、新人でも中途でも、どの職種でも同じことで、辞めていく一番の理由は給与とかそんなことじゃなく、仕事への満足度だと思うんです。スタッフ一人ひとりが仕事に満足していれば、現場のモチベーションが上がる。現場がよくなれば、病院全体の評価も上がる。

吉川理事長 : 病院の評価の話で言うと、厚労省の適時調査。1年に1回あって、ICUは特に認可を取ったばかりなのでかなり厳しく調べられましたけど。

都築看護部長 : 「様式9」で指摘を受けた項目がひとつもなかったんですよ。

薮中 : それはすごい。

都築看護部長 : ICUも手厚いですねと、高い評価をしていただきました。

お互いのノウハウを提供し合って地域全体の医療向上を目指す、現実的な地域連携

インタビュアー : 地域連携の基幹病院として、今後sub4の展望を教えていただけますか。

吉川理事長 : 口先だけの連携ではなくて、現実的に可能な連携を目指したいと考えています。患者さまの目線で見て、納得していただける地域連携・機能分化が必要です。そのために、地域の医療機関とお互いに勉強しながら、レベルを高めていきたい。我々に急性期のノウハウがあるように、在宅の医療機関には独自のノウハウがある。それをお互いに吸収し合うことで、地域全体の医療を向上させることができると考えています。

薮中 : 地域連携を目指す意味でも、人材の確保は重要ですね。

吉川理事長 : おっしゃる通りですね。次の戦略としては、うちから人材を外に出せるぐらいになりたい。優秀な人にこそ、外の世界を見てもらって、そこで得たものをこの病院へフィードバックしてもらいたいと思っています。そんなことも視野に入れながら、人事交流をしていきたいですね。

都築看護部長 : 急性期だけでなく、いろんな領域の看護を経験することで見えてくるものがある。そういう考え方ができる看護師を育てていくことが目標です。

インタビュアー : そのような展望の中で、当社に期待されているのはどんなことでしょうか。

吉川理事長 : これまで同様、忌憚のない意見を言い合える関係でありたいですね。一緒に仕事をするからには、その場限りの収益を上げればよいとは考えていません。御社には期待に応えていただいたので、我々も気を引き締めていきたいと思っています。

朝生部長 : ここまでやってきて、他社さんに切り替えるつもりなどはまったくない。当院と一緒に取り組んできたことが、御社にとっても何か一つの成果として残るとうれしいですね。

インタビュアー : 当社の営業担当者に対してはいかがですか。振る舞いやサービス内容など、ひと言おっしゃりたいことは。

朝生部長 : 問題ないと思いますよ。こういう話ができるのは、良い関係ができているからこそだと思いますし。もうちょっと話を盛ったほうがよかったかな(笑)?

都築看護部長 : 御社の営業担当者って、クセになってくるんですよね。誰とは言わないけれど、中毒性がある(笑)。

薮中 : それはもしかして、私のことでしょうか(笑)。


インタビューを終えて

貪欲に学ぶ姿勢で自分たちにないノウハウを吸収し続ける大同病院様に対し、期待を超えた価値提供ができるよう、私も常に新たなインプットを得て、それを大同病院様にアウトプットし続ける必要がありました。このプロジェクトを通して、私自身も成長させていただけたと思っています。大同病院様に当社が多少なりともご評価いただいたのは、同じ目標に向かって、時に厳しい意見を交えながらも本気で向き合わせていただいた結果だと考えます。ソリューション事業において重要なことは、お客様にパートナーと認めていただいた上で、同じ方向を向いて伴走することなのだと感じました。

対談者:人事・組織コンサルティング事業部 薮中 桂佑
インタビュアー:全社支援室 室長 船生 高広