株式会社エス・エム・エスキャリア 医療・介護の人材支援

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ニューハート・ワタナベ国際病院 中川看護部長

「小さな」合同就職説明会で「大きな」一歩を踏み出した新卒看護師採用


医療法人社団 東京医心会 ニューハート・ワタナベ国際病院(東京都杉並区)

2014年5月に開院した世界最先端の医療技術・快適な院内環境を備えた高度専門治療の国際病院。心臓血管外科・循環器内科を中心とした高度専門治療を行い、「地域一体となった医療活動」「世界トップクラスの医療技術」「患者さんが“笑顔になる”治療」を目指している。開院から2018年10月末までの心臓手術件数は1,700件を超える(44床)。


ニューハート・ワタナベ国際病院
中川 八千代(なかがわ やちよ)看護部長

大学病院でのキャリアを経て、2017年に看護部長としてニューハート・ワタナベ国際病院に赴任。「質の高い医療サービスをすべての患者さんに提供する」という志のもと、看護部の体制強化や働くスタッフの労働環境改善に日々奮闘している。

 

株式会社エス・エム・エスキャリア
人事・組織コンサルティング事業部 ナース専科セールスグループ
小椋 三千弥(おぐら みちや)

2015年入社。関東・九州エリアの医療機関・介護施設等を中心に、新卒看護師の採用支援サービスを提供している。

 


「看護学校を卒業→大学病院に就職」という当たり前を覆すには

インタビュアー:開院して間もない新しい病院ということで、看護師を始めスタッフの方々の増員が急務でいらっしゃったかと思います。開院当初はどのように採用活動をされていたのでしょうか?

中川看護部長:私がここへ来て1年半になりますが、それ以前は知り合いを通じての縁故や御社のような紹介会社さんからの紹介で、中途採用を中心に行っていたと聞いています。心臓外科に特化した単科の専門病院なので、スタッフに高い専門性が求められる上に、新人の方々を受け入れる教育体制を整える余裕もないと判断してのことだったようです。

小椋:新たに新卒看護師の採用を始めることになったきっかけは、やはり安定した組織運営のためでしょうか。

中川看護部長:そうですね。当院の価値観をしっかりと身に着けて10年20年と頑張っていただける方を増やしたいとなると、やはり新卒看護師の採用は必要だと思いました。看護師に限ったことではありませんが、やはり中途で入職する方が一番強く影響を受けているのは最初に入った病院なんですよね。そこで自分が形成されて行きますので。色々な場所から集まってきたスタッフは1人1人価値観が異なっていて、ときに意思を統一するのが難しいなと感じることがあります。ただその中でも組織づくりの工夫をして、少しでも改善するように取り組んでいます。例えば、看護師長とスタッフの間に主任のポジションを新設したことで、組織のマネジメントが以前より安定してきたと感じています。

小椋:そうした取り組みで組織が安定してくると、中途入職の方々の定着につながりそうですね。

中川看護部長:はい。一定の成果は上がっていると感じています。

小椋:初めての新卒看護師採用にあたり、どういった課題がありましたか?

中川看護部長:最も大きな課題になったのは、当院が開院まもない新しい病院で認知度がまだ低いことですね。看護学生の実習の受け入れなども行っていませんし、そこは正直とても弱い部分です。

インタビュアー:看護学生の方が卒業して就職先を探すときには、まずは大きい総合病院を希望する方が圧倒的多数ですよね。

中川看護部長:多いですよね。私も自分のことを振り返ると、卒業したらそのまま自分が知っている病院に就職するのが当たり前でした。今でもそれが主流なのは変わらないんだなと思いました。でも、前職の大学病院に長く勤務して、教育と採用の両方に携わって分かったことは、10科も20科も診療科があるような総合病院に入ったとしても、在籍中に全部の科をジョブローテーションすることなどできませんし、10年いたとしても、10年間ずっと同じ科で専門性を高めるような方がすごく多いということです。

小椋:確かにその通りですね。総合病院にいても皆さんそれぞれに専門領域を持たれています。

中川看護部長:そうなんです。それであれば、学生時代から循環器の分野に興味のある方が、当院のような単科の専門病院に新卒で就職することは、逆に看護師として成功する近道になるのではないかと考えました。また、「循環器は難しい」とおっしゃる学生さんは多いのですが、だからこそ、キャリアの最初にそれを経験すれば大きな武器にもなります。

学生の目線に立ち、言いにくいこともハッキリ意見してくれた

インタビュアー:中川看護部長と当社の出会いはどんな形だったのでしょうか?

中川看護部長:先ほど申し上げた通り、前職で採用に関わっていたこともあり、エス・エム・エスキャリアさんにはお世話になっていました。新卒看護師の採用で御社が主催する合同就職説明会へ出展したり、具体的なPR方法についてたくさんのアドバイスをいただいたりしていました。

小椋:当時、当社にはどんな印象を持っておられましたか?

中川看護部長:「常に学生の立場に立って率直なアドバイスを伝えてくれる会社」という印象です。そこが他の会社さんとは違っていた点でした。私が一番印象に残っているのは、採用PRのために映像を制作したときのことです。大学での説明会や、インターンシップの前などにオリジナルの映像を放映し、病院への理解を深めてもらおうと考えました。当時それを御社担当者の方々に見てもらったところ「これは…今の学生の感覚には合わないと思います」と、しっかりと改善案を意見してくださいました。学生さんたちの目線に立ったアドバイスは、すごくありがたかったです。

インタビュアー:小椋さんは、ニューハート・ワタナベ国際病院の新卒看護師採用を支援するにあたり、どういったご提案をしたんですか?

小椋:先ほどのお話にもあったように、看護学生の皆さんは大きな総合病院を志望される方が圧倒的に多い状況です。新卒看護師採用に着手することは決定事項である中で、どうやってニューハート・ワタナベ国際病院を学生さんたちに知ってもらい、入職したいと思ってもらうか?が課題でした。中川看護部長は良くご存じかと思いますが、当社が毎年冬~春にかけて東京で開催している「ナース専科 就職ナビ 合同就職説明会」では、2,000名近くの看護学生が来場し、出展される病院の数も180~200近くになります。そういう会場では、知名度が高い大きな総合病院に学生が集中するんです。そこで、当時我々としても初の取り組みだった「秋の合同就職説明会」というものをご提案しました。大きな会場に病院や学生をたくさん集めるのではなく、ごくわずかな数の病院様にご出展いただき、20~30名くらいの学生さんをお呼びしてマッチングをするというイベントです。このイベントでは、学生参加者全員が出展しているすべての病院と面談する時間を設けるというプログラム内容にしたんです。

中川看護部長:あのイベントは良かったですよね!私も前職で冬~春の方のイベントに毎回参加していたのですが、だいたいの学生さんは、大きな病院を3~4箇所回るとそれだけで疲れてしまうんですよね。そんな中、名前が知られていない病院ブースには立ち寄ってもらえないまま埋もれてしまうことが容易に想像できました。それよりは、総来場人数は少なくても来場されている方全員とお話をする時間をもらえた方が確率は高いと思ったので、私たちのような中小の病院にとっては本当に良い内容でした。

活動初年度から3名の新卒採用に成功。その秘訣とは?

インタビュアー:来年度は3名の新卒看護師が入職されるとお聞きしました。どんな取り組みが採用成功につながったとお考えですか?

中川看護部長:まずはWEBですね。自院のホームページの充実はもちろんなんですが、そこに来てもらえなければ意味がないので、御社の「ナース専科 就職ナビ」を始めとした企業の求人サイトに掲載し、学生の皆さんに情報を届けることを重要視しました。また、やはりイベントが有効であるということは、前職にいたときに得たノウハウとして分かっていました。実際、秋のイベントでお会いした学生の方からは「もっと早く知りたかった」「こんな病院があったんですね」という声をいただきました。

小椋:中川看護部長がすごいのは、イベントに参加する目的を明確にして取り組まれた点です。イベントはあくまで1つの通過点であり「いかにインターンシップに足を運んでもらうか?」が重要だという認識を強くお持ちでした。イベント中に学生の方々とお話するときも、ただ接点を持って知っていただいて終わりではなく、その場でインターンシップに興味を持ってもらうことまでを意識してアクションされていました。

中川看護部長:実はそうしたノウハウは、前職での御社との定期的な打ち合わせの中から吸収したものです。いくら資料を見て説明を聞いても、現場に来て実際に体験してもらわなければ当院の良さは分かりませんし、当然採用成功にはつながらないので。

小椋:合同就職説明会では、中川看護部長が1人1人の看護学生と丁寧にお話されていたのが印象的でした。

中川看護部長:学生の皆さんとお話するのは楽しかったですね。皆さんの希望や思いをゆっくりと聞いた上で、それがこの病院に入ることで叶えられるのかどうかを見定め、正直に話すことができました。お互いの思いが一緒だ!と繋がった瞬間がすごくうれしかったです。

小椋:どの学生さんにも一律に同じような説明をするのではなく、中川看護部長は「どういう接点があればこの学生さんはニューハート・ワタナベ国際病院に足を運んでくれるか?」ということに着眼されていました。希望と合わない場合には、別の病院がいいかもしれないというアドバイスもされていましたよね。

中川看護部長:新卒で入職したところがミスマッチになるとすごく辛いと思います。同じ看護師として、それだけは避けたいといつも思っているので。私のような先輩看護師から気づきを得てもらえればと思ってのことです。

小椋:あとは、院長がイベントで積極的に学生の皆さんとお話されていましたよね。他の病院さんの場合は、院長が会場にいらっしゃることがあっても少し様子を見て帰られることがほとんどなので、それも印象的でした。

中川看護部長:そう、そうなんです!すごくたくさんしゃべってましたよね(笑)。当院では、院長自らが率先して採用活動に参加し、採用や育成の重要性を院内のスタッフにもしっかり伝えてくれているので非常にありがたいです。結果としてインターンには全部で8名の方が参加してくださいました。そのうち3名が来年春の入職を決めてくれています。

インタビュアー:イベントの参加学生約30名のうち、8名が貴院のインターンシップに参加され、しかもそのうち3名がご入職されるというのはすごい確率ですね。インターンシップの内容はどんなものだったんでしょうか?

中川看護部長:一番大事にしたのは、病院内のすべての場所を体験してもらうことです。病棟だけではなく、外来やオペ室、術後のHCUまで、患者様がたどるのと同じ体験をするプログラムにしました。それによって、「どこかの科」に採用されるのではなく「ニューハート・ワタナベ国際病院のスタッフ」として採用されるんだ、ということをお伝えできればと考えました。規模が大きすぎないからこそできたことでもあります。

小椋:学生の皆さんに病院のありのままをすべて見てもらうということですよね。普段の病院運営で意識して取り組まれていることはありますか?

中川看護部長:やはり接遇にはすごく厳しいです。きちっとした言葉遣いや対応を徹底する。院長が常日頃から言っていることです。当院は患者様の在院日数が短いので、第一印象が悪くなると、その修正ができないうちに退院されてしまいます。ですので、出会いの瞬間を大切にしています。

小椋:確かに先ほど私も受付でスタッフの方の患者様への接遇を拝見して、素晴らしいと感じました。しっかりと組織の中に浸透しているのですね。

ここでしかできない「サービス」を提供していきたい

インタビュアー:ニューハート・ワタナベ国際病院の今後のご展望をお聞かせいただけますか?

中川看護部長:国の方針としても医療機関の機能分化が進められていますけれども、当院は難易度の高い心臓外科の大きな手術を手掛ける、まさしく急性期です。「より上手なところで手術をしてほしい」という患者様の当然のニーズに対して、治療技術もそうですし、スタッフによる接遇やケアの部分でも、ここでしかできないサービスを提供していきたいと考えています。

小椋:「サービス」という表現をされている点がポイントですね。

中川看護部長:そうなんです。医療は「サービス」なんです。それも患者様の命に関わるサービスです。私たちプロにしかできない、当院でしかできないサービスに力を入れていきたいですし、それができる病院だと思っています。医師の手術レベルの高さは素晴らしいですし、開院以降、看護師の手技も、確実さ・スピードともにどんどん高まっています。それはつまり手術時間の短縮化が実現しているということであり、麻酔時間や人工心肺を使う時間も削減されるので、患者様へのご負担も一層減ってきています。

小椋:多数のレベルの高い手術を補助していく中で、看護師の皆さんもどんどん成長されていく、ということですね。私たちも、貴院を含めもっと多くの病院と看護学生の皆さんの出会いの架け橋となり、たくさんの学びを得て成長していきたいです。


このサービスについてのお問合せは、下記フォームもしくはお電話にて承ります。

[連絡先(部署)] ナース専科新卒事業部
[連絡先] 03-6695-5610 (平日午前9:00~午後6:00)
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インタビュアーから一言

インタビューを終えた後、私たちに「また遊びに来て!」と気さくな笑顔で言ってくださった中川看護部長。取材に行く道すがら、小椋が「中川看護部長だからこそ、あの提案ができた」と話してくれた理由が分かりましたし、「採用は競争」と捉え、大病院在籍時代とはまた違う戦略で成功を収めた部長の手腕に感嘆しました。

「看護学校を卒業したら大きな総合病院に」という以前は当たり前だったこの流れは、医療機関の機能分化や在宅医療が進む現在の日本では、必ずしも当たり前ではなくなりつつあります。学生の皆さんがその流れを理解した上で自分の進む道を選ぶー。多くの看護学生に就職情報サービスを提供している会社として、その手助けを少しでもできれば、と改めて思いましたし、受け入れ側である医療機関や介護施設等に対しての私たちの価値提供の在り方も変化させていくべきだと感じました。

インタビュアー:ナースライフサービス開発部長 村木 範子