株式会社エス・エム・エスキャリア 医療・介護の人材支援

15

理学療法士(PT) 求職者様

志高き理学療法士の苦悩と選択―転機に問われるキャリアパートナーの価値とは


西村 清陽 (にしむら せいよう) 様 (東京都在住/理学療法士)

急性期病院に勤務する理学療法士。日々患者様と向き合い、幅広い視野で社会貢献を志す。中枢リハビリの前線に立つことのできる職場を求め、転職を決意する。

 

株式会社エス・エム・エスキャリア コメディカルパートナー部 リハ人材紹介グループ

山本 真伊 (やまもと まい)

2015年入社。キャリアパートナーとしてリハビリ職の方々の就職・転職支援を担当。


「もっと中枢リハビリの前線に立ちたい」-もどかしい思いで転職を決断

インタビュアー:ご転職をお考えになった理由はどのようなものだったのでしょうか。

西村様(以下敬称略):一言で申し上げるなら、現職では自分のやりたいことが実現できそうになかった為です。私は脳血管の認定理学療法士の資格を持っているのですが、更新期限があと2年に迫っており、中枢分野でもっとたくさんの症例を見たくて。

山本:中枢のリハビリができる事業所様に入職されたご認識ではあったものの、なかなか理想どおりにいかない現状がおありだったという事でしたよね。

西村:そうですね。入職後、何年か経てば状況が変わると思っていましたが、これ以上好転が見込めない状況でした。以前から患者様がより良くなる為の研究や勉強をしてきましたし、私にとっては「学びが得られる場がある」ということが非常に大切なので、このままではいけないと思いました。

山本:仕事をされながらご自身でも継続して学ばれるのは容易でないと思いますが。

西村:「筋トレやマッサージ的なもの=リハビリ」という50年前から変わっていない日本のリハビリ治療を変えたいんです。もっと効果のある治療を追求していきたいし、自分が役職に就くことで、治療の現場をより良く変えていきたい。現職のポジションでは積極的に変革をする事は難しいと感じていました。そういった背景もあり、他の職場を…と考え、PTOT人材バンクさんを利用しようと決めたんです。

インタビュアー:当社にご登録いただいた理由はあったのでしょうか。

西村:転職したい気持ち自体は強かったのですが、自分一人で求人を調べたり応募したりするのは大変なので登録させていただきました。ただ正直にお話しますと、最初は他社さんにも登録をしていましたね。

山本:そうだったのですね。他社さんからのご提案はいかがでしたか?

西村:たくさん提案いただいたのですが、私の希望する役職の求人にはあまり出会えませんでした。また、他社さんは興味のある求人があれば一緒に見学に行く仕組みだったのですが、顔見知りになることで言いづらくなってしまうことも正直あり、私には合いませんでした。

山本:なるほど。お客様によっては顔を合わせた方が信頼できるという話をお伺いする事もあるのですが、その点はいかがですか?

西村:正直、最初は「顔を合わせなくて大丈夫なのかな?」と思っていました(笑)。一人で訪問しなければならないのは少し不安でしたし。ただ、山本さんが訪問先のことをしっかり説明してくれたので不安は事前に解消できましたし、2回目からは気になることはありませんでしたね。

「やりたいこと」と「条件面」との狭間で。自分にとって魅力ある職場とは

インタビュアー:ご転職活動はどのように進めていかれたのでしょうか。

西村:山本さんにご提案いただいた以外にもいくつか自分で問い合わせをしていた事業所がありましたし、実際に数箇所見学も行きました。ただ、活動開始後しばらくは良いと思えるところに出会えない状況が続きましたね。山本さんにも逐一相談はしていたのですが…。

山本:そうでしたね。なかなかピンとくるところに出会えていらっしゃらない状況でした。その時はどのようなご心境だったのでしょうか?

西村:当時は自分の中で転職に踏み切る基準を設けていましたので、割り切っていました。基準とは「自分のやりたい事ができるか」「今の生活が維持できるか」という2点です。現職では実現できないことを実現するために転職する、ということはもちろん、どんなにやりたい事があっても生活ができなくなるようなお給料なら転職はできないと思っていました。だからある意味泰然と構えていましたね。

山本:私も西村さんの基準を満たす求人をご紹介するためなら妥協することなく長期戦も厭わない覚悟でした。今ある求人の中から選んでいただくのではなく、ご希望の叶う職場が見つかるまで粘り強く探そうと。そんな中、今回ご転職を決められた事業所様は、やりたい事が実現できるという面ではベストの条件であるように思えました。そこで、求人情報をすぐにメールでお送りした他、お電話で業務内容や補足の非公開情報をご説明させていただきました。でも…。

西村:お給料についてですよね。確かに現職よりは少し下がることになるので、生活面の条件としては、率直に申し上げて微妙なラインでした。

山本:はい…。ただ、業務内容として高次脳機能障害の脳循環改善目的の理学療法が含まれている点であったり、総じてレベルの高いリハビリを医大とも連携して実践される点であったり、ご興味は持っていただけると思い、ご案内した記憶があります。

西村:役職に就ける可能性の話も伺い、そこにも魅力を感じましたね。長い時間をかけて説明を尽くしてくれて、そのうえで急かすことなく私に回答を委ねてくれた。実は…今回転職する事業所を山本さんからご紹介いただいた時点で、他に今と同じお給料を出してくれるという所から内定をいただいていたんです。

山本:そうでしたね。先ほどおっしゃっていた転職に踏み切る基準のお話を伺ってもいたので、お給料を現状維持できるご職場も魅力的だろうと思っていました。「ああ、どちらを選ばれるのだろう」と。

西村:正直すごく悩みましたが、ご紹介いただいた事業所には研究所がついてくる点も大きかったですね。課長さん自身が論文を出していることや、院長先生が脳神経外科のドクターで話しやすい環境もあるのではないかと思いました。院長先生からは「うちのお給料で良いかよく考えて判断してください」と率直に言っていただきましたし。

山本:先方はその点を大変心配しながらも、提示した条件で西村様に選んでいただければとてもうれしいとおっしゃっていました。

「自分では聞きづらいことも代わりに聞いてくれた」不安は解消され、納得の選択ができた

インタビュアー:やりたい事と譲れない条件との間で悩まれたと思いますが、その中で山本の対応はいかがでしたか。

西村:二者択一の選択を迫られる中で、私自身納得いく選択ができるようサポートしてくださいました。特に、事業所に直接聞きにくいような質問をしても毎回きちんと事務長さんに確認をしてくださり、丁寧なお返事をくださったのが印象に残っています。

山本:たとえば退職金のことなど、ご自身ではなかなか聞きにくいこともありますものね。

西村:そうですね。あとはお給料に関しても交渉してくださったのには驚きました。結果、交渉のうえで先方からは「出せなくてすみません」というお返事でしたが。ただそれでも役職についてどの程度の確度なのか探ってくれたり、そういった情報の一つひとつが、転職先を選択するうえでとても大切でした。

山本:ありがとうございます。ご内定を受諾されるかどうかの判断材料を集めるという意味で、満足いくお手伝いができましたでしょうか?

西村:はい、すごく助かりました。ただあまりにも私からの質問が多いので、山本さんも事業所側も、「まだ質問あるの!?」という状態だったのではないでしょうか…?

山本:いえいえ、そんなことはないです。西村さんにとって重要な選択になることは私自身深く理解しているつもりでしたから。特に印象的だったのは、奥様とも毎日相談をされているとおっしゃっていたことで、その中で新たなご懸念や解消したい点が出ているのだろうな、と思いました。西村さんがいかに真剣かを感じることができましたし、すぐに確認してお答えしたいと思っていました。先方の事務長さんにもそういった熱意が伝わったのか、「色々ご不安もあるでしょうしね、分かります」という感じで快くお答えいただけていました。

西村:安心しました。今までもそうだったのですが、納得できないとどんどん返事が延びてしまう性格でして…。それで失敗する事もあり不安でしたが、今回は山本さんが広い心で受け止めてくれて、聞きたい事を心置きなく全部聞けたことで、納得して紹介いただいた転職先を選択することができました。

山本:そう言っていただけて良かったです!入職前にご不安はすべて解消しておきたいですものね。こちらも西村さんのおかげで知らなかった事業所様情報を知る事ができました。次にご紹介する方にも生かす事ができます。ありがとうございます。

「患者さんに接している時間が一番長いのがPT」-恩師との約束を果たすため、今日も患者さんと向き合い続ける

インタビュアー:リハビリ治療への熱い想いはどこから湧いてくるのですか。

西村:一番根底にあるのは、亡くなった先生との約束です。

山本:いつ頃のお話ですか?

西村:小学6年生の卒業の時に「中学校で頑張っていきたい」という趣旨の文章を書いたら、担任の先生から「もっとやりたい事とか、考えている事はないのか?」と言われて。その時に「困っている人を助けられるようになりたい。そういう仕事をしていきたい。」と伝えたんです。しかしその先生が卒業の1週間後に心筋梗塞で亡くなってしまって。

山本:辛い出来事でしたね…。医療の仕事に興味を持たれたのもその頃で?

西村:はい。あと、私は母親が台湾人なのですが、右も左も言葉も分からない状態で日本に来たとき、祖母の兄弟が面倒を見てくれたそうなんですが、その親族も癌で亡くしました。そういったこともきっかけとなって、担任の先生との約束を果たそうと思うようになったんです。

山本:その中でもPTのお仕事を選ばれたのはどうしてですか?

西村:患者さんに接している時間が一番長いのがPTだと思ったからです。たとえば医師は手術して投薬して、回診も10分程度じゃないですか。でも、PTなら病院の中で一番患者さんと話せる。「この道だ」と思ったんです。

山本:西村さんが患者様の事を考えるエネルギーはどこから湧いてくるのかな?と思っていましたが、今その源泉が分かったような気がします。

西村:一方で、日本のリハビリ治療には大きな課題があることを実感しています。意味のない事を患者さんに提供して医療費を無駄遣いしてはならないし、患者さんに意味のある時間を使って欲しい。本来あるべき医療を提供することが日本の医療そのものを良くすることに繋がると信じていますし、社会貢献にも繋がると思います。

山本:今のお話、院長先生が聞いたら喜ばれると思います。

西村:高いレベルのリハビリ治療を志す転職先の考え方は、私の考え方にもとても合っていると思います。紹介いただけて良かったです。

インタビュアー:最後に、当社へのご意見や期待される事などがあればぜひ教えてください。

西村:求人の内容をより深く教えていただきたいです。法人の方針や院長・事務長・看護部長のリアルな声が聞きたいし、そういった情報を聞くことで、こちらも看護部との関係性など、内部の環境を推測できる。というのも、正直リハビリ職の立場は、リハの専門病院とかでない限り強くないと思うんですよね。なので、中に入ってからの働きやすさは看護部との関係性も大きいと思うんです。より長く働くためには病院全体が同じ方向にちゃんと向いて進んでいる事が大切なんじゃないかと思いますから、経験年数のような表面的な条件だけでなく、病院全体が本当に求めている人物像を紹介会社さんが把握して教えていただけたら良いですね。

山本:私はリハビリ職の担当なのでPT・OT・STさんの人数や年齢、性別の構成などはもちろん確認するのですが、リハビリだけではなく看護部長のお考えなど幅広い情報をお伝えできた方が良いのだなという事を感じました。貴重なご意見ありがとうございます。


インタビュアーより一言

“人の役に立つ仕事をしていく”という決心から、患者様のために自分が何を学び、患者様に対して何を提供していくかという事に強い想いをもってらっしゃる事が大変印象的でした。西村様のような想いを持った従事者の方々が、日本の医療介護業界を支えているのだと改めて感じた時間でした。

ご自身の“やりたいこと”と“守るべき生活”のバランスを取りながら、職業人としての大きなターニングポイントである“転職”を考える。とても難しいことだと思います。だからこそ私たちは、表面上の条件を満たせる場所を単にお探しするのではなく、“どの環境であれば、毎日イキイキ仕事が出来るか”を考えるのと同時に、ご本人様のお気持ちのみならず、ご家族様や生活背景も踏まえた上でのご紹介をさせていただく必要があるのだと、改めて気づかされる非常に良い機会となりました。

インタビュアー:コメディカルパートナー部 竹内 睦実
記事編集:ナースパートナー部 森本 由香利
経営管理部 長谷川 敏洋