株式会社エス・エム・エスキャリア 医療・介護の人材支援

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宮崎東病院 石橋看護部長 × 担当

昨年比250%の採用目標に、漂う諦めムード。 二人のプロフェッショナルが生み出した驚きの成果


独立行政法人 国立病院機構 宮崎東病院(宮崎県)

1980年、前身の「国立赤江療養所」から「国立療養所 宮崎東病院」に名称を変更。
2002年、「国立療養所 日南病院」と統合、2004年に「独立行政法人 国立病院機構 宮崎東病院」となり今日に至る。「『主役は病める人』をモットーとして、患者さんの人権を尊重し、良質かつ高水準の医療を提供すること」を理念として掲げ、地域に貢献し続けているケアミックス病院(300床)。


プロフィール1

独立行政法人 国立病院機構 宮崎東病院 石橋 富貴子(いしばし ふきこ)看護部長

国立病院機構(以下NHO)各病院の要職を歴任後、2014年、宮崎東病院に看護部長として着任。新卒看護師採用プロジェクトを立ち上げ、同病院の抱える採用課題に取り組んでいる。

 

プロフィール2

株式会社エス・エム・エスキャリア 法人営業部 西日本グループ 藤井 洋充(ふじい ひろみつ)

2012年入社。西日本エリアの医療機関を中心に、採用・人事支援サービスを提供している。


応募者は常にギリギリ。新卒看護師の採用活動には“諦めムード”が漂っていた

インタビュアー : 当社と契約前の新卒看護師の採用活動はどのような状況だったのですか。

石橋看護部長(以下敬称略)正直に申し上げると、新卒看護師の採用活動にはそれほど力を入れている感じではなかったようです。私が看護部長として着任した2014年の4月には、その年の採用活動の方針は「例年通り」ということで既に固まっていましたので、その方針に則って採用活動を行ったところ、必要人員12名の応募がギリギリ集まった、という結果でした。その前年も15名ほどの応募だったと聞いています。

藤井:何とか稼働には足りる人数を採用できてはいたのですね。

石橋:そうですね。ただ、本当にギリギリの人数でしたので、病休や育児休業などが立て続けに発生すると、入院基本料もままならないほど人員が不足することもありました。不足分を補うため、その都度中途採用者を募集していく、という状況で・・・。看護部長として当院に来た当時、一番苦労したのが人の確保でした。次の年からは何とか、人員を十分に確保したい、という思いでいました。

藤井:それは大変でしたね。さらに、新病棟の開設も重なりましたよね。

石橋:そうでしたね。元々、人が足りていなかったことに加えて、新病棟の開設、病棟再編成が予定されていたので、2015年度は30名の応募を目標にしていました。ただ当時は、少し諦めムードもあったんです。

藤井:諦めムードがあったのはなぜなんでしょうか。例年の倍以上の人数ですし、分からなくもないですが…。

石橋:当院は慢性期病院で、かつそれほど大規模な病院ではないので、医療職の人たちの間でも知名度は高くありません。もちろん、学生の皆さんからも認知が低い状況でした。教員をしていたころの経験上、「最初は超急性期でバリバリ働く」という希望を持った学生の方が多いことも分かっていました。そんな中で倍の人数を確保するのは難しいのではないか、という気持ちになっていました。

「ナース専科」との出会い。石橋看護部長が求めた「価値」とは

インタビュアー : そんな中、藤井との出会いがあったわけですね。

石橋:はい。何しろ倍以上の人数ですから、今までとはガラッと取り組みを変えなくてはいけないな、と思っていた矢先に、藤井さんからのアポイントが入ったんです。ナース専科※さんには、独自の学生アンケートなどの資料がありますよね。そういった資料を示しながらお話になられて、非常に納得感のある説明でした。
当院の知名度を上げるために、色々な場所で開催されているたくさんの合同就職説明会に出向く、という手もありましたが、数日間で出会える方の数は限られていますよね。そう考えると、藤井さんがご提案くださった、「ナース専科のWebサイトに情報を掲載する」というのは、非常に得策のように思えました。「当院にはまだまだ可能性がある」という藤井さんの後押しもあり、「よし、やってみよう」と。

(※ ナース専科 就職ナビ:当社の運営する看護学生向け求人情報サービス)

インタビュアー : 実際に当社との契約に至るまでには、院内の説得に大きなハードルがあったと伺っていますが。

石橋:高いハードルがありましたね。一応、今までも必要人数は何とか確保できていたわけですから、新たに費用をかけてまで大きく変える必要があるのか、という懸念が院内でもありました。そこを説得するのが大変でした。

藤井:当時は、九州地方のNHO内でも、当社と契約されている病院が少なかったですよね。それもハードルになったのではないでしょうか。

石橋:そうですね。宮崎県内では初めての取引でした。ただ、少ないながらもいくつかの病院では取引があったので、それらの病院の看護部長に話を聞きました。その意見に加えて、院内の決裁権者に藤井さんから直接説明していただく場を作ったりしました。私よりもうまく説明していただけるかな、と思いまして。

藤井:そうでしたね。色々な資料を作って、ありとあらゆるご説明をし尽くした覚えがあります(笑)。

石橋:藤井さんの詳細なご説明もあって、院内でも徐々に理解が得られて。最後は院長に切々と訴えて、無事に契約させていただくことになりました(笑)。新しいことを始めるには、強い意志がないといけないと思うのですが、私も新人の看護部長でしたから、かなり不安でした。そんな中、まるで当院の一員かのように、同じ温度感で真剣に当院のことを考えてくれるパートナーがいる、というのはとても心強かったです。藤井さんという“専門家”の支えを得て、やっとスタートを切ることができました。

 

採用プロジェクト始動。キーワードは「若手看護師の抜擢」。

記事内2インタビュアー : 無事契約に至り、まずお二人が実行されたのが採用プロジェクトチームの立ち上げでしたよね。当時のやり取りについてお聞かせいただけますでしょうか。

石橋:以前いた病院での経験から、採用のことを専門に考えていく体制を作り、継続的に採用活動を実行していくことが重要だと考えておりましたので、2015年にナース専科さんと契約をした後、すぐに採用プロジェクトチームを立ち上げました。

藤井:プロジェクトチームの立ち上げについては私も同じ思いでした。人材の確保とそのための採用活動は、「その年で終わり」ではなく、ずっと続いていくものです。前年までの経験値を生かしながら、継続的にPDCAを回せる体制があるといいな、と考えました。

石橋:立ち上げの際、藤井さんから「入職3・4年目くらいの看護師をメンバーにするといいですよ」というアドバイスをいただきました。以前の病院では、副師長を中心にしたメンバーにしていたので、そこは新たな視点でした。

藤井:学生の皆さんと年齢が近いからこそ出てくる意見もあるのではないか、という考えがあり、若手の皆さんをメンバーにするご提案をしました。

石橋:各病棟から、プレゼン力のある若手看護師を選出してもらって、副師長をバックアップに入れてチームを立ち上げました。初回は私が趣旨を説明し、2回目の会議には藤井さんにもご参加いただいて、今の就職活動のトレンドや、採用活動の工夫点などを教えていただきました。プロジェクトメンバーには、「皆さんの後輩にたくさん入職してもらうための活動だ」ということをとにかく伝え、まずは自分たちが当院の良さに気付くためのグループワークをしてもらいました。そこで出てきた意見をまとめ、キャッチコピーやパンフレットの記載内容を決めていく、という感じで進めていきました。その間、藤井さんにもかなり細かいアドバイスをいただきました。ある程度形になったらメールでお送りして、ご指摘をいただいたりして。

藤井:ノベルティなども一緒に作りましたよね。

石橋:そうですね。藤井さんから他院の成功事例を教えていただいて、工夫しながら色々と作りました。ホームページにアクセスしてもらうために作ったポケットティッシュには、QRコードを載せてスマートフォンからも見られるようにしてみたり、クリアファイルを普段使いたくなるようなかわいいものにしてみたり。これには若いメンバーの意見が生きました。

インタビュアー : 他にも注力されたことはありますか。

石橋:藤井さんに、ホームページに掲載する病院の新着ニュースの発信について、「メンバーに任せた方がいい」というご意見をいただき、メンバーに原稿を作ってもらうようにしました。今では看護部のホームページの更新のお知らせや、実習中の看護学生に向けての応援メッセージなどが頻繁に更新されるようになりました。

藤井:看護師の皆さんが、学生の皆さんに向けて、自ら発信する風土ができたのですね。

石橋:そうですね。もう一つ、藤井さんのアドバイスでとても印象深いのは、病院見学会のネーミングに対するアドバイスです。「単に『病院見学会』ではなく『&ランチ会』って付けるんですよ」って(笑)。実際にこのネーミングで開催したら、本当にたくさんの学生の皆さんがいらっしゃったので、鳥肌が立ったのを覚えています。当院の歴史上初めてのことで、メンバーみんなでびっくりしましたし、感動しました。

藤井:これだけノウハウが蓄積されてくると、異動などがあっても次の方が安心して採用に関われますよね。

石橋:そうなんですよね。プロジェクトを立ち上げたばかりのころは、私や師長からの提案が多かったのですが、今ではメンバーからの意見が多くなってきました。合同就職説明会への参加ひとつにしても、担当になったメンバーが、その日のブース訪問者の統計データを作り、面談の感想、今後の課題などと一緒にまとめて会議で報告し、次の合同就職説明会までに、それを元に施策の見直しをする、というように、PDCAが回り始めたと感じています。

 

結実したプロジェクト活動。

初年度の応募締切日は「自分も病院のスタッフのようにドキドキした(藤井)。」

インタビュアー : 初年度の結果はどうだったのでしょうか。

石橋:30名の目標に対し、何と38名の応募がありました。着任初年度は12名の応募だったので、3倍以上です。ちなみに今年度は40名の目標に対し、はるかに上回る54名の応募がありました!

藤井:すごい!まさに右肩上がりですね。思い返すと、初年度は、自分も病院のスタッフであるかようにドキドキしていました。しっかりと採用活動をサポートさせていただいてきたつもりではありましたが、応募があるかとても不安で、本当に落ち着かなかったです(笑)。応募の締切日に、看護部長から応募人数のご報告メールをいただいて、「よかった!」と思ったのと同時に、予想以上の結果にびっくりした覚えがあります。

石橋:応募人数が増えたのはもちろん成果なのですが、採用要件に合致した方々が多く応募してくださるようになったことも大きな成果です。

藤井:貴院の描く看護師像に合致する層が獲得できるようになってきたのですね。

石橋:実は、当院の取り組みがNHOの中でも評価されてきています。NHO内で定期発刊されている「NHO便り」に、「宮崎東病院における看護職員確保の工夫事例」というテーマで記事を書いて欲しい、という依頼が来たり、院長が院長協議会で当院の新卒看護師採用に関するプレゼンを行ったり。思いがけない展開になってびっくりしています。

インタビュアー : 採用活動を通して、他にも何か得たものはありましたか。

石橋:師長たちから、プロジェクトメンバーの成長が臨床現場においても非常に目立ってきている、という報告を受けています。自分たちの活動が目に見える形で成果として表れて、自信を得られたことがやはり大きかったのだと思います。また、自分たちが努力して獲得した学生の皆さんが新卒看護師として入職してきたとき、メンバーは指導をしていく立場となるわけですよね。そうなると、看護師としてのスキルも磨いておかないと、という意識になるようです。プロジェクトを通して良い循環が生まれ、ますます士気が高くなっているのを感じています。

藤井:それは非常にうれしいことですよね。二期目が始まり、久しぶりにプロジェクトメンバーの皆さんにお会いした際の、皆さんの自信に満ち溢れている顔がとても印象的でしたが、そういった背景があったのですね。

記事内3

インタビュアー : 最後に、石橋看護部長にとって、当社や藤井はどういった存在ですか。

石橋:振り返ると、藤井さんには、プロジェクト活動への関わりはもちろんのこと、それ以外にも、1ヵ月から1ヵ月半くらいのペースで、ずっと採用活動に関する有用な情報をご提供いただいていました。藤井さん、初年度結果が出たとき、私がなんて言ったか覚えていらっしゃいますか?「藤井さんの関わりに支えられたと思います。」って言ったんですよ。

藤井:覚えてますよ!ありがたいお言葉で、涙が出そうでした。

石橋:御社や藤井さんのことは、同じチームで協働するメンバーであり、私たちのサポーターでもあり、アドバイザーでもある。そんな風に感じています。藤井さんはもう当院の担当ではないのですが、今年の成果も普通に報告したくらいです。

藤井:そうでしたね。パートナーとして関わらせていただき、良い関係性が築けたからこそ、今でもご連絡いただけていると思うので、素直にうれしいです。


インタビュアーより一言

取材の中で一貫して感じたのは、石橋看護部長と藤井の強固な信頼関係です。立場・役割の違う二人のプロフェッショナルが、「クライアントとサプライヤー」という枠組みに囚われず、一つの課題に対し、まさに同じ温度感で取り組み続けた末に生まれた関係なのだと確信しました。

医療・介護領域での慢性的な人材不足が叫ばれる中で、宮崎東病院様と同じような課題を抱えていらっしゃる事業所様は、全国に今なお多く存在すると思います。“人”と“商材”を掛け合わせ、中長期的な視点でサービス提供を行う当社事業の意義を再認識するとともに、お客様の課題・ニーズを自分ごととして捉え、真摯に向き合い続けることこそ、当社がお客様に選ばれるために本当に必要な姿勢であると、強く感じました。

 

インタビュアー:経営管理部 長谷川 敏洋
記事編集:全社支援室 村田 遼太郎